お皿に込められたストーリー(ウィローパターン) [身辺のこと]
前回、柳川の記事を載せましたが、川沿いの柳が目をひきます。
この柳の描かれたお皿がイギリスにあります。「ウィローパターン」です。
ウィローwillowは柳のことです。
柳の花言葉は、「愛の悲しみ」「憂い」「哀悼」などがあります。
19世紀初期に、イギリスの皿にはよくウイローパターンが取り入れられていたようです。
ウィローパターンのお皿です。
このお皿には、柳、橋、楼閣、柵、小舟、2羽の鳥などが描かれています。
柳が垂れ下がり、2階建ての家の後ろには、オレンジの木もあります。
白地に青の美しい絵には、中国のお話が入っています。
お金持ちの娘であるコンセーと、コンセーの父の秘書をしているチャンの
愛の話です。
二人は愛し合っていましたが、父に知られ、反対されチャンは解雇されます。
その後、裕福な侯爵のタージンとコンセーは婚約させられます。
チャンと会えないように、家の周囲には柵が張り廻られ、
コンセーも庭と茶室だけ行ける制限を受けました。
小川が家と茶室の間に流れていて、チャンは愛の手紙をココナッツの殻に入れて小川に流します。
ある日、コンセーが、父の決めたフィアンセ、タージンに会ったとき、
タージンがコンセーに宝石箱を渡します。
みすぼらしい格好をしたチャンは、そっと宴会に忍び込み、
コンセーに逃げるように合図しました。
お皿の左下に橋をかけている3人の姿が見られます。
純潔を示す糸巻き棒を持つコンセー、宝石箱を持つチャン、鞭をふる父
チャンは、コンセーを茶室に隠し、ボートで島に逃げます。
左上の島がそれで、漂流した島で家を建て生活します。
しかし、この2人のことが婚約者のタージンの耳に入り、チャンはタージンの兵士に殺されて
しまいます。それを知ったコンセーも自ら命を絶ちます。
二人の魂は二羽の不滅の小鳥に姿を変え、永遠の愛の象徴として天空を舞い続けたのでした。
1枚のお皿にこのようなストーリーがあると思いながら、じっくり眺めると
また奥深い気持ちで皿を手にできます。
柳の「愛の悲しみ」という花言葉も、このラブストーリーに重ねてしまいます。
時代の特徴もあり、その絵柄などにも意味が込められているものが,いろいろありますね。
美しい花などのお皿にも、その描かれた思いなどもうかがい知ることができたら
また使うときにも一段と愛着が湧くことと思います。
和の器にしても西洋の器にしても、美しさや使い勝手などはもちろんのこと、
お皿の由来なども魅力的に感じてしまうものの一つです。